本仁田山 (2019.11.30)




思い起こすと、奥多摩方面へ行ったのは御岳山のレンゲショウマ以来でした。。。
青梅での乗り換えも寒いし、電車の本数も少ないしで。
ついつい足が遠ざかっておりました。



が。

何を思ったか、ガイドブックで見た「本仁田山」に心惹かれました。


近くの川苔山はけっこう有名らしいんだけど、本仁田山はちょっと地味な印象だとか。
9月ぐらいなら花も見られたようで、ちょいと遅かったけどー。
ま、晩秋の奥多摩を満喫する山行もよいでしょうということで。



2-3冊のガイドブックをよく読んでからの出発だったはずなのに…


行ってみてから

「えええええ!?マジか!?こんなとこ来ちゃったけどいいのか!?」

思わずそんな気にさせられた山は今回が初めてだった。と思う。



降り立ったのは青梅線終点の奥多摩駅。
青梅で乗り換えるのが面倒なので、少し時間を遅らせてホリデー快速で来ました。
いや〜便利だわ♪

電車内は立っている人もそこそこいたけれど、駅出たところのトイレやバス乗り場にはけっこうな人の数。
走り出すバスを見ると、すし詰め状態。うわあ。。。メッチャ混んでる。。。

本仁田山は登山口まで1時間ほどで歩いていけるので、アプローチも良いとのこと。

というわけで8時28分、奥多摩駅を出発〜♪



氷川国際ます釣場の横を通っていきます。
日原方面への道はこの前の台風で被害を受けたようで、まだ通行不可。
鍾乳洞などもバスでは行けないのかな。一度行ってみたいんだけどな。



ひたすら舗装された林道を進む。
駅から同じように歩く人は4-5人ぐらいだったかな。
あちこち写真撮ってる私をよそに、とっとと先へ歩いていってしまいましたが…



9時18分、安寺沢の登山口に到着!
民家の脇を通らせてもらってのスタートになります。
沢の横に大きな岩がゴロゴロしていて、休憩するにはちょうど良い。
身支度を整え、ストレッチをしていると後ろから2-3人の山ガールがやってきました。



本仁田山で1時間半かかるのに、川苔山は倍の距離…3時間は余裕なんか?
うわーきつそう。今の私にはちょっと…いやかなり無理。


というか。


本仁田山の標高って、私的にもっとも高い山になるわけですが?



今までの最高峰は山梨の扇山(1138m)。
本仁田山は1225m!
一気に100メートルぐらい高くなる!!

ちょっとワクワクしてきました♪



入ってすぐのところも倒木がいくつかあり、よっこいしょ!と乗り越えて進みます。
そして5分もいかないうちに、乳房観音への分岐。
50mならほんとにすぐだから、行ってみよう。
登山安全祈願とも書いてあるし♪



由来を見ると、巨木に大きな気根が垂れ下がったとある。
そこから母乳の出がよくなるようにとの願いが伝えられたとか。
高山不動尊のイチョウと同じようなものだろうなあ。

しかし、ここには「乳癌に罹らないご利益があるとされ…」とはっきり書かれていた。

あー。そうか…
もっと早く知っていれば。
でも、患った時はまだ登山なんて興味なかったわ(´・ω・`)

すでにかかってしまった身としては、せめて再発しないことを祈っていきましょう。


お祈りを捧げていると、後から10人ぐらいのグループがやってきた。
老若男女いろいろ。どこかの山岳会かなあ?
邪魔にならないように、先へ急ぐことにする。



けっこう足場が悪い道が続きます。



落ち葉で踏み跡が見えにくい〜!
先行者がいないと誤りそうだ。
しかも傾斜があったりするので、気を抜くと滑って下まで転がりそう。

樹林帯のジグザグをひたすら登っていく。
…このあたりで、わりと不安はあった。
最近、ぬるい低山歩きしかやってなかったし、体力が〜という。

何度も立ち止まって水分補給。息が切れてしまう。
いつの間にか乳房観音で会ったグループに追いつかれてしまったので、適当な場所で休みながら先へ行ってもらうことにする。

大所帯でも皆さんスイスイ登っていくなあ。あの脚力が羨ましい。



このあたりでちょうど1時間。
そろそろ尾根か…

いつもなら尾根に出るのを心待ちにしている私ですけども。



10時33分、大休場(おおやすんば)の鞍部に着く。
もうヘロヘロ…

でも本当の挑戦はここからなのだ。



ここからは標高差700メートルを一気に登る!(グレートトラバース風に)


軽く流してましたが、よくよく調べると

「奥多摩三大急登」

だと。

さ、三大急登って…

もしかして私、まだ来ちゃいけないレベルのところに来た?


大所帯のグループさんも私と入れ違いに休憩を終え、先行していきました。
その姿が遠くなっていくのを眺め、不安になってきた私。



木々の間から見える景色はとってもキレイ。
紅葉もちょうど良い感じです。

しかし…来たからには登るしかないのだ。
重い腰を上げ、ゆっくり進んでいく。。。



目の前の急登を見ちゃいけないと思いつつ、じっと眺める。。。

この辺では前からも後ろからも誰も来なかった。



来た道を見下ろしてみる。
ああ…確かにこれは下るよりも登るほうが気楽かも。



でもまだ余裕。
モフモフしたコケを見つけ、「ふかふか〜♪」とか触ってみたり。



根っこ道に加え、岩場まで出てきた。
トラロープのある場所まで来て、「…ん??」と迷う。

岩場の通り方がわからない!!(片側は切れ落ちている崖)
先に道が続いているのかも見えず、2度チャレンジしてみたけどわからなかった。

うあーヤバイどうしよう。。。
恋路沢やスカリ山で道に迷ったとき以上に戸惑った。

これは〜帰ったほうが良いんじゃなかろうか。。。


ものすごく消極的な考えに。
疲れもあって進めずにいると、上からオジサンが一人下りてきた。
これはチャンス!と思って聞いてみる。 
 
 でもやっぱりその岩場はそのまま進むしかないようだ。
「ゆっくり歩けば大丈夫ですよ」と優しいオジサンは笑ってくれた。 

どんだけゆっくりだよ!と自分にツッコミながらここまで来たのに(´・ω・`)


とにかく滑落だけは避けたいので、慎重に進んでいく。
確かに通れたよ!通ったけど…

その先も「これは道なのか?」と思う箇所がいくつも出てきた。
 
すでに写真を撮る余裕がない。苦笑

大量の落ち葉で滑る斜面をひた登る。
ふと見ると、ちょっと横に登山道のようなものが見えたり。(全然外れていたワケ)

50の初心者が来る山ではない。絶対ない。

 
私、あんまりよその人に「あとどれぐらいですか〜?」とか聞かないんですけど…
この山の急登には思わず泣き言を漏らしまくりましたよ…



最後に会ったおじさんに「あと標高差にして50mぐらいだから」と励まされてから…
ようやくここまでたどり着いた!
時間は12時15分。
 
登山口に書かれていた1時間半って……嘘でしょ?(´・ω・`)

まあ何度も休憩して立ち止まって、を繰り返していたけれどさ。
CTって何それ?美味しいの?の世界だわ。



さっきまでの急登とは明らかに違う。
ああ〜空が近い!近いよ!!もうすぐだよ!!!



つ、着いた!!!!!
12時20分、山頂着!!!
(1m少ないのは何でだろう)



予想よりも狭い山頂で、5人ぐらいのグループが食事中でした。



三角点タッチをし、グループの後ろ側の岩にへなへな〜と寄りかかって座る。

いや、もうなんていうか…疲れた!
登った!という喜びよりも、終わって良かった!もう登らなくていいんだ!という安心感。
登山の楽しみ方じゃあないな…と自分でも思う。
達成感より、終わりを喜ぶって。笑



山頂からの眺望。
木々が邪魔してイマイチ。うーん。

あまりの疲労で食欲もなく、温かい味噌汁だけを飲む。
はあ…これはだね、早く降りて美味しいものをどこかで食べないとダメだ。



反対側から登ってきたご夫婦に、道の状況を尋ねると「大丈夫でしたよ」とのこと。
予定通り、鳩ノ巣駅に下りるルートを進む。
あの急登を降りるのは絶対嫌だ。笑



そして…「大丈夫」の道は行きとはまったく逆だった!

何これ!こんなに違うもの!?
メッチャ歩きやすいじゃん!!!
倒木があったりするけど、道もまっすぐだし、わかりやすい!



なんとなく撮ってみたけど、ここが「コブタカ山」だったのか。。。



危険な箇所もないし、景色も見えるし最高ではないですか。



ゆるやかな下りをのんびりと。。。
途中で2人グループとすれ違った程度で、人の気配がまったくない。



こっちの道は杉ノ尾尾根というらしい。
途中に山名標識があり、「殿上山 920m」と書かれていた。



ちょっと段差のあるえぐれた道になったりしたけれど、まもなく開けた場所に出た。
そばに林道も…ということは「大根ノ山ノ神」かな?



小さな祠がある程度だけど、こちらからも川苔山へ行ける要所となっているようだ。
でも帰り道がちょっとわかりづらくて、一瞬迷った。行けそうな道が何本もあるんだもの〜。
祠の前を通って、右側の道を降りていく。

そして、えぐれた道がまだ続く。

久しぶりにモンベルのネージュを履いてきたんだけど、なんかつま先が痛い。
…おかしいな。この靴は合っていたはずなのに。


やっと民家が見えてきたと思ったら、熊野神社の裏手に出た。
大きなイチョウの木があって、黄色の落ち葉がものすごい。
お参り後、お掃除してくれているオジサン(神主さん?)に話しかけられた。

台風被害とか、熊出没とか、いろいろな話を聞いた。
「道もけっこう悪路だったでしょう」と心配もされた。
神社の裏手で転倒する人がわりと多いらしい。
確かに急ではあったなあと思い出しながら聞く。



熊野神社を振り返る。

ここからは鳩ノ巣駅は目と鼻の先。



「あと2分です」「おつかれさま」。
ホッとする〜!



どれが本仁田山なのだろうか…?
疲れた〜〜。もうヘットヘト!!



ホッとしたらお腹が急激に空いてきた。
鳩ノ巣釜めしさんで食事を摂ることにします♪
15時過ぎで、店内も1グループしかいなかった。



きのこ釜めしを頼みました♪
釜めしも天ぷらも美味しいけど、右の野菜がたくさん入ったスープがまた美味!!



へへ♪ また飲んじゃった。

でも後から入ってきたソロのおじさんもビールだけ注文してた。
登山の後のビールは美味い♪





電車の時間までぶらぶらと双竜の滝などを見に行く。
前回は下のほうしか見れなかったからね〜。
落差はあるけれど、なんだか人工の滝って感じでイマイチだったが。

16時過ぎ、鳩ノ巣駅に到着。




めちゃくちゃ疲れたし、足も痛いしでさんざんだったけど。
なんというか、変な言い方だけど

「これが登山なのだろうな」

と思わされた山でした。

ここより高い山はたくさんあるんだけど…
その入門のひとつって感じに思えた。

登るのに、あれだけ夢中になったんだもの。
手足を全部使って、這うようにして登った箇所もあった。
自分の手足をガツガツ使って登ったっていう実感が湧いた。

山歩きとはまた違う楽しさがあるのかもしれないな。



登るのやめて帰ろうと思った山は初めて。
もうダメだこんな急なの私には無理だったと思ったのも初めて。
でもそこを頑張って登り、無事に降りて帰ってきたんだから。

山って、自分の弱さがストレートに出るなあ。
そして…喜びもあって、やりきった達成感も。




またこの山に登ろうとはまだ思えないけども。(´・ω・`)

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