高尾山(6号路〜山頂〜小仏城山)(2017.12.27)




世界一登山客が多い、高尾山。
2017年の締めはここに決定!



今年の年末年始休みは8日間もありました。
他部署の応援が嫌なので、有給休暇を取ってまとまった休みにしたのです。
なので、どこか行こうと早くから決めてました。

といってもまだまだ山登りは初級の私。
とりあえず、高尾山なら人も多いだろうし…
もしも辛くなったら下山にケーブルやリフトが使えるし…

標高599メートル。
ふもとから山頂まで歩いても1時間半ほどの道のり。
ここからスタートしなくては何も始まらない!

…などとけっこうな意気込みで出発したわけです。



水曜の早朝、5時発の始発に乗り込み、京王線の高尾山口駅に到着したのは7時。
この時期はようやく日の出を迎えた頃。
空気も冷たくて、ライトダウンを着込んでいるにもかかわらず寒いったら!!

駅舎は近年建て替えたらしいです。温泉もすぐ隣にあります。

前回来たのは息子が小学生の頃。
紅葉を見にきたつもりがあまりの人出の多さに辟易してしまい、蕎麦を食べてトリックミュージアムを見て帰ってしまった記憶が…
親に連れられてきたこともあったかもしれないけど、たぶんケーブルで登ったんじゃないかな。
不思議と高尾山の記憶は残ってないんだよなあ…
御岳山や三峰山の記憶ははっきりと残ってるのに。



今日のコースはいくつかある自然研究路のうちの6号路。
通称「琵琶滝コース」。

途中に琵琶滝と呼ばれる滝がある、沢沿いの静かなコースです。
たぶん、一番「登山」らしいコースなのでは、と選んでみました。



途中にあるケーブルカーの山麓駅・清滝。
始発が8時…当然ながら誰もいない。
何人かのお客さんは見かけたけど、みんな駅を素通りして登山コースへ向かってしまいました。



沢を横に眺めつつ行くと、6号路入口に到着〜。
おじさんが何人か入っていくのに続きます。



寂しい感じ。
でも、この人気の無さが私の求めていたイメージでもある。

まだネックウォーマーも手袋もダウンもマスクもしたままで行く。
歩き出すまでは寒くて寒くてたまらない…

というか、この時まではあんまり服装にこだわってなかった。
登山の服装って、
・ベース
・ミドルレイヤー
・アウター
が基本で、それにフリースやソフトシェルなどをプラスらしいけど。
○○シェル系を持っていない私は、フリースのプルオーバー+ライトダウン+スキーにも着ていけるようなゴアテックスのジャケットでした。
アンダーウェアも下だけはあったかタイツみたいのを履いて、その上に冬用のストレッチパンツ。
なんせまだ登山の「と」の字もわかってなかったので、おいおい揃えていけばいいか…と考えてたわけですな。

だって登山メーカーの服ってけっこうお高いじゃないですか。
それ揃えてたら大変なことに…
高山をバンバン登りに行くとかだったらカッコがつくけど、ねえ〜

もう何もかもが初心者なので、後ろに人の気配を感じたら即、道を譲ってしまう。笑
「足遅いんで〜お先にどうぞ〜〜」
といえば、だいたいお礼を言ってみんなスイスイ抜いてってくれる。
コースタイムなんて何それおいしいの?って感じの私は、のんびり行きたいのよ。



少し歩いたところに、琵琶滝への分岐が。
降りていってみると、滝は見える…
けど、トゲトゲ門で施錠されていて近づけない。
僧たちの修行の場だからかな〜? 中へは入れませんでした。

分岐を戻り、ふたたび山頂へ向かう。
15分、20分…を過ぎた頃からか、だんだん暑くなりだした。

げええ、暑い!!!たまんない!!!

ベンチのある場所まで行き、ネックウォーマーと帽子を外し、中に着ていたダウンを脱ぐ。
ついでに水分補給。そして大事な行動食をば…


とかやっていたところ、先に着いていたおじいちゃんが話しかけてきました。

おじいちゃん:「おひとりで登ってるんですか?」
私:「はい〜。高尾山初めてなんですけど〜」
おじいちゃん:「初めてで6号路ですか〜」

なんか意外そうな顔をされてしまいました…
いかにも登山慣れしてない様子の私が汗かきまくってヨロヨロしてるので、気になったのかもしれませんが。
おじいちゃんは先へ急がず、登る理由を語りだしました。

おじいちゃん:「シモバシラを見に来たんですけどね。仲間数人で来る予定が、みんな都合で来られなくなっちゃって」


…?
シモバシラって、あの霜柱? 踏むとシャリシャリ言う、あれ?


しかしそうではなかったらしい。
怪訝な顔の私に、一枚のハガキを見せて一生懸命話してくれた。

なんでも、真冬の早朝の、日陰部分に主に見かけるという植物だとか。
花は秋に咲くけれど、枯れた茎が水分を吸って凍りつき、霜の花びらが巻きついたようになるそうで。
高尾山の冬の風物詩とのこと。

へえ〜そんなもんがあるのかあ。
花は好きだけど、ただ見るだけであまり詳しくない私。
おじいちゃんはかなり詳しいらしく、聞いたこともない花の名前を次々に言ってくれる。

おじいちゃん:「今日なら絶対見れると思って計画してたのに、私一人で登るはめになってね」

ちょっと残念そうでした。

話しながら合わせて登っていくとキツイかと思ったので、
「遅いので、先に行ってください」
と伝える。
優しいおじいちゃんは会釈しながら先へ。
20ぐらい年が違うと思うのだけど、あっという間に見えなくなってしまった。笑



しばらく行くと6号路名物?の飛び石に着いた。
尾根に出ないので今自分がどこいらへんにいるのか見当がつかない。
凍ってなくてよかった〜とホッとしつつ、慎重に石の上を渡り歩く。



少し登って、ふと振り返る。
誰も来ない………
道は一本だから間違えたりしないはずだし、日も昇ってきてるから明るいけど…

ちょっと不安を抱えながら進むと、いくつかのコースが合流する地点へ。
ここまで来ると、何人かの人を見かけた。やれやれ。
階段を登り、ラストのコンクリ急斜面を登る。



 おー!山頂だああ!!!

って人、けっこう歩いてるし!
風強めで寒いけど、空気が澄んでてキモチイイ♪



おおおお〜
富士山もくっきりだあ〜
やっぱり富士山が見えるとホッとするねえ。


9時前。ビジターセンターもまだ開いていない。
体を止めると寒いので、ベンチで着込んでからパンを食べる。
うーん…この後どうしようか。

さっきのおじいちゃんが、この先のもみじ台から城山まで行ってみるつもりだと話していたのを思い出す。
城山というのは…小仏城山のことか。
地図を見ながら時間を計算する。1時間から1時間半弱。

行きはよいよい、帰りはなんちゃらにならねばよいが…^^;


というのも、前回の滝見物で靴が合わないように思えたからだ。
くるぶしのあたりと、小指あたりに靴が当たって痛かった。
今日は100均のサポーターでカバーしてきて、くるぶしはまったく痛まないが…

でもこの時点では強い痛みもないので、と思い、行ける所まで行ってみようとなった。


木製階段をどんどん下りていく。
帰りはこれ登るのか…と半ばウンザリしつつ。笑



もみじ台まではあっという間。
何もない。トイレだけ借りてスルー。



天気が非常に良い。
富士もステキ。



遠くの山はなんと言う名前の山だろうか…
すぐ隣は山梨や神奈川だ。いろんな山があるんだろうな。

続いて一丁平あたりは桜の名所らしい。
ベンチがいくつかあったり、展望台があったりする場所。


この先へ続くのは高尾〜陣馬縦走コース。
片道5-6時間かかるということで、私にはまだまだ縁の無いコースかもな。



なだらかな道を進むと、遠くに八王子?の街が見えた。
いくつかアップダウンはあるものの、わりと調子が良い。



右側が高尾山かな?
あそこから来たんだ〜と、ちょっと感慨深い。
左は林道やら伐採やらで、斜面がスカスカになっていたり。



そしてようやく小仏城山に到着!
何も計画立てずにきてしまったけど、目的地に着くとそれなりに嬉しい♪
高尾山よりちょっと高い670.3メートル。
茶屋もあるけど、土日しか開いてないそうで残念…

茶屋のベンチはたくさんあるけど、南側の端をキープして温かい飲み物を飲む。
すぐ後からやってきた20人ぐらいの高齢者グループに囲まれかけて、なんとも気まずい思いをしてしまった^^;;;



さっきよりも広範囲で見える。

ここからは北側、南側に下山ルートがいくつかある。
ちょっと先の小仏峠へ、さらにその先の景信山まで行けばさらに良い眺望が待っている…

ま、今回はここでいっかな〜

まだ11時だし、帰りはのんびりゆっくり帰るつもりだし〜


…そういえば、結局「シモバシラ」は見なかったっけ。
天気いいし、これだけ晴れてればもう溶けちゃってるよね。



そんなことを考えながら、来た道をまた戻る。


私、登山なんて…と考えてた頃は、それが嫌だったんですね。
「何でせっかく苦労して登ったのに、また同じ道を降りなきゃならんの!」と。
そりゃ下りなきゃ家に帰れんだろう。笑。とは思うけど…

なんかそれがとっても無駄な苦労のように思えてしまって。
なので、自分は絶対登山なんてしない!だろう!と思ってたのに。

黙々とコースを戻ることに対しては、なんとも思わなかった。

良い眺めを見て、ちょっと何か食べて、さあ家に帰るぞと思って戻るだけ。
当たり前のことなんだろうな。
もちろん、高い山に行けばそれなりに危険があるだろうし、疲れた足での下山は緊張もしないと滑落までいかなくとも転倒などもあるかもしれない。

「家に帰るまでが遠足」とは、よく言ったものだな。



城山からの戻りは巻き道もけっこうあって。
地図ではもみじ台の北側の道を通れば、さっきの階段地獄に行かずにすむらしい。
ちょうどそっちは日陰になっていて…

途中で、何人か集まってカメラを向けたりしている。


あっ!!



こ、これはもしや…


シモバシラかあ!?


なんか植物ガイドみたいな人が熱心に話をしていた。
その近くに、朝会ったあのおじいちゃんもいた。

周辺に数箇所しかなかったけど、紛れもなくシモバシラがあった。

写真だと汚いティッシュが茎に巻きついてるだけに見えてしまうけど…^^;
本物は儚げで、もちろん触ったらあっという間に壊れてしまう氷の花。

なかなか見れないらしいのに、初めての高尾で見られてラッキーでした♪

おじいちゃんはカメラに夢中だったので、声かけはせずに先へ進みました。



帰りは表参道でもある1号路で。
薬王院へ寄ってお参り。

   

年末年始は夜中も多くの参拝客が訪れるという高尾山。
その直前の平日なら空いてるかな、と思ってきたけど、下山中はけっこうな人が登ってくるのに会いました。
1号路は舗装されているし、ケーブル使えば山頂までそんなに歩かなくてすむので家族連れにも人気なのでしょう。




…そしてじわじわ来ていた異変はこのあたりでピークに。


小指がいてえ!!!
つま先に靴が当たって猛烈に痛い!!!
靴脱いで裸足で帰りたいほどに、そりゃもうパネエ痛みに襲われてました…

しかも下りは、紐をぎゅっと締めてもつま先が前にずれると靴にジンジン当たる。
泣きそうになりながら、黙々と歩く。

うえ〜ん痛いよ痛いよ〜!
なんでジャストフィットな靴を選んだのに、こんなに痛いの〜!?


↑この認識は、後に盛大に間違っていたことに気づくのですが。



こんな感じの舗装路がふもとまで続くのか…
気が遠くなりそう。


途中で権現茶屋のごまだんごを食べ、ちょっと気力を取り戻す。
疲れたときにはやっぱり甘いものが一番♪



あいにく、リフトは点検中で動いていません。
ここでケーブルに乗れば良かったんだけど…
なんとなく我慢して1号路をそのまま行ってしまった。

しかしそれが功を奏して、再び、いや三度の出会いに繋がったんでしょう。


金比羅台を過ぎて九十九折の舗装路をひたすら降りる。
途中、もうダメだとベンチに座り込み…また歩く……



そんな時、あのおじいちゃんが!!


おじいちゃん:「また会いましたね〜今、下山ですか?」

この出会いが、痛みで半分泣いてたかもしれない私を励ましてくれました。
権現茶屋で天狗ラーメンを食べていたというので、もしかしたら同じ頃に寄っていたのかも。
シモバシラの話をすると、今日見れたことをとても喜んでました。


不思議なことに…
ひとりで黙々と歩いてる時よりも誰かと話しながら歩いたほうが気がまぎれ、足の痛みをそれほど感じなくなってたんですね〜
めっちゃ助かりました!


花とか蝶の話をしながら、もう少しで清滝の駅に着く…というあたりで、

おじいちゃん:「良かったら、これあげますよ」

と、先ほどから何度か見せてくれていた自作の写真ポストカードをくれました。



写真を撮ってSNSにアップしたり、こうしてカードを作ったりしているとか。
PCを自在に駆使するハイテクITおじいちゃんだな〜
しかも見せてくれた写真、どれもキレイ!
(印刷もうちのプリンターよりダンチで美しい)

おじいちゃん:「スミレが咲く頃にまた来ると、綺麗なんですよ」

そう言ってました。
そうか。スミレか。可愛いよね。
見たいな。見てみたいな。


高尾山口の駅へ向かおうとするおじいちゃんに、私は
「お土産屋さんを見るので…」
と別れを告げました。

おじいちゃん:「この先に高尾599ミュージアムというのがあって、面白いですよ」

と教えてくれたので、そちらも寄ってみることに。
最後まで感じの良いおじいちゃんでした。
お名前も聞かなかったけれど、また高尾に来たら会えそうな気がするな…


おまんじゅうを買ったお店でお茶もいただいて、ホッと一息。
なんとか足はもってくれたようで、助かった。


そしてオススメの高尾599ミュージアムへ。
2年前ぐらいに出来た新しい建物で、高尾山で見られる動植物の剥製やら展示があります。
とくに花の展示がステキで、透明なケースに閉じ込めた押し花みたいな感じで色も鮮やか。
(昔、ガラスに入った生花のペーパーウェイトが家にあったのを思い出した)

昆虫の展示もあった。蝶も何種類も見られるのね〜



朝、駅に降り立った時には予想もしていなかった1日となりました。

山って、いいなあ。。。


改めてそう思いました。

また来るね。高尾山。

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