立山・室堂(2017.9.8)



 
思えば本格的に歩くことに興味を持ったのは、立山への旅行からだと思う。

本来、歩くことは嫌いではないけどどちらかというとインドア派なので…
ウォーキングもランニングもすぐに飽きてやめてしまうし、
自転車であちこち出かけるのは好きだけど、1時間も走るとお尻痛くなるし、
「運動」を感じさせず、続けられるものとはいったい何であろうか?

となると、やっぱり
「自然の中を歩きに行くこと」
であるわけです。

しかし若いころよりも体力が落ちた上、何時間も歩けるわけではないので、
せいぜい片道1-2時間から始めてみようと思った次第です。


さて。
1年ぐらい前からすごく行きたくて楽しみにしていた立山黒部アルペンルート。

室堂から雷鳥沢への遊歩道。
ホテル立山を出て10分ぐらいは、こんな感じの広めの道が続く。

ミクリガ池あたりからアップダウン開始。



といってもまだ普通に石階段が続いてます。
余裕余裕♪



地獄谷へ向かう途中。
15-20分歩き、少し汗ばんできた程度。
ウインドブレーカーが邪魔になってきた。脱いだり着たりの繰り返し。
 


途中にある山崎カール。
なるほど、ヨーロッパのアルプスにも似てる。
スプーンでえぐられたような凹みがあるのね。

ここいらから道がちょっとずつ狭く細くなっていく。



赤矢印のところに人がいます。
何これ。尾根道じゃないの?ほっそい!
石階段だったり、砂利道だったり。
強風吹いたらバランス崩して落ちる。絶対。
 
この辺から息子に、完全に置いていかれてます。
チッ。若者は足が速いぜ。
 


雷鳥荘〜雷鳥沢ヒュッテを過ぎたあたりからもうしんどくて、ふくらはぎがぴりぴり痛い。
動悸もバクバクで、ちょっと歩いては立ち止まり…
目の前の石階段を恨めしそうに見上げ…

やべえ帰れるかな。
雷鳥沢なんてまだまだ先なのに、ここでこんなんじゃ無理すぎ。

ていうかここって初心者向きとか書いてあるんですが……

もうヘットヘトのヘットヘト。
写真すら撮る気力が出ない。
人はぽつぽつ来るけれど、なんか孤独感に包まれる…
みんなザックとか背負ってきて重そうなのに、平気でヒョイヒョイ歩いてるしー。

簡易リュックに変えて超軽装なのに、わし、無理。
ってかキャンプしないのに沢まで行く必要ないじゃん?

と疲労困憊の頭で考えなおし、ちょっと先で待っていた息子を呼んで引き返すことに。
どう見てもあと10分は階段を下りるであろうと判断し、往復する体力が厳しいことを伝える。
息子も雷鳥沢まで降りる意味がわからんと言ってくれたので、また戻る。
まったく疲れの見えない足取りで戻っていく息子。

待ってー。置いてかないでー。

しかし足がもう上がらない。やばい。

そう思い、持ってきたウォークマンで音楽を聞きながら歩くことにした。
風の音に混じって、ドライブ用のノリの良い曲を集めたプレイリストが始まる。
 
一番最初に入れたのがSuperflyのタマシイレボリューション。

これでなんとか気力を振り絞り、先で待ってくれていた息子に追いつけた。


ああ音楽の力ってスゴイ。




なんとかミクリガ池まで戻り、今度は「ミドリガ池」への石畳を行く。
この辺はわりと平坦なので楽々。

ホテル立山へ戻り、少し遅めの昼ごはん。
肉ーー!肉をくれえええーー!
普段めったに食べないカツを食らう。運動したから肉食獣の血が騒いでおる。


そんで。

やっぱりこの日から翌々日ぐらいまで、ひざの裏あたりのふくらはぎ上部が死んでました。
湿布してサポーターも巻いて寝る前にマッサージもよくしたのに。
普通はひざにくるんじゃないの?
ひざが哂うとか…聞くじゃん。


たぶん往復で2時間弱だったと思うのですが、あんなに石段がキツイとは…

しかし帰ってきて物の本を見たところ、人工的に作られた石段・木製階段というものは砂利道などに比べ歩幅が強制されるために、キツイ部類に入るんだそう。

ああ確かに…自分の歩幅で歩けないって……疲れるな。
木道も、ひざの上げ方が普通に歩くより高いもんな。よいしょって感じで。


まあ非常に疲れはしたんですけど…
自然の中をのんびり自分のペースで歩いて、
火照った体が風に吹かれてすずしーーーって気持ちになるのがたまらなかった。
まったく登れる気もしない立山連峰を眺めながら、
「うおーあんなとこに人が歩いてる!なんだあれ!ちっちゃい!!」
と自然の雄大さと人間のちっぽけさに驚きつつ。

高いところに登るのではなく、草木のある低地でも全然楽しいじゃん。

と思うようになったのが、この室堂行きだったんだと思います。
2400メートルもあって、全然低地じゃないですけどね。

きっかけは、こんなところで。

←戻